聖徳太子ーそのあまりに人間らしい人生

聖徳太子の物語はあまりに伝説的である。その実像は歴史的史実を追う限り、限りなく人間的である。
幼時から優れた感性を使って、早くから人間の世を見てきた心は、若年で長速の成長を遂げるが、そのことが却って自身を苦しめることになる。王家の血統の間に生まれ、両家の間での出来事の全てが苦悩の種になって行く。自身の宿命と弱さに後悔と嘆きを繰り返しつつどうにもならない現実に苛立つ人生となって行く。「人を救うもの、それはただ、仏法のみ」の最終思想はこうして作られてゆく。